2024年12月26日

【愛媛県美術館】山川コレクション収蔵記念 PHOTOGRAPHY 写真のこれまで/これから

01
エドワード・ウェストン《草と海、ビッグ・サー》1937年
愛媛県美術館(山川コレクション)


■開催概要
展覧会名
山川コレクション収蔵記念 PHOTOGRAPHY 写真のこれまで/これから

会期
令和7年(2025)年1月 31 日(金)〜3月 20 日(木・祝)(42 日間)
【休館日】月曜日 (ただし、2/3、2/24 、3/3 は開館)、2/4(火)、2/25(火)、 3/4(火)

会場
愛媛県美術館 本館 2階 常設展示室1・2

主催
愛媛県美術館

協賛
濱商株式会社

協力
富士フイルム株式会社・富士フイルムイメージングシステムズ株式会社

助成
公益財団法人朝日新聞文化財団

観覧料
■個人
【一般】600円
【65歳以上】500円

■団体(20名以上)
【一般】400円
※大学生以下、障がい者手帳等をお持ちの方とその介護者 1 名は無料。
※本展観覧券で当日に限りコレクション展をご覧いただけます(高大生除く)。

出品作家
ウジェーヌ・アジェ、エドワード・ウェストン、アンセル・アダムス、アンドレ・ケルテス、ロバート・キャパ、エルンスト・ハース、ダイアン・アーバス、ウィリアム・クライン、奈良原一高、荒木経惟、森山大道、三好耕三、須田一政、白川義員、白岡順、今道子、香川久士ほか(山川コレクション)/新山清、芥川善行、石川武志、佐々木知子、村上亘

開催趣旨
写真を示す言葉「PHOTOGRAPHY」の語源はギリシャ語で、その意味するところは「光で描く」です。
元来写真の起源は、暗い部屋の壁に小さな窓から差し込む光を通じて、外の世界が映し出される現象とされています。そして、単に映し出すだけでなく、その定着に成功したことが、写真史の幕開けとなりました。写真は誕生以来およそ 200 年にわたり、技術面でも進化を続け、その表現方法が探求し続けられています。
このたび、令和5年度に愛媛県内の実業家・山川浩一郎氏より寄贈を受けた、写真コレクション約 120 点を一堂に紹介します。当コレクションには近代写真の先駆けとなったウジェーヌ・アジェなど写真史を語る上で欠かせない作家の作品が数多く含まれており、これらの作品を通して、写真芸術の歩みをたどります。
また、山川氏と同郷の四国中央市出身で直接交流のあった白川義員を始め、本県ゆかりの作家の作品 を含むことも本コレクションの大きな特色です。本展では山川コレクションの延長線上にある、写真という芸術表現でこれまで制作してきた、本県ゆかりの写真家たちの作品もさらに加えて紹介することにより、本県における写真芸術の軌跡と今後を見据える機会となれば幸いです。

本展の見どころ
●R5年度に新収蔵となった山川コレクションを一堂に初公開します。
写真史に名を連ねる重要作品多数
愛媛県関連作家山川コレクションに追加して紹介

山川コレクションには、本県ゆかりの白川義員、白岡順、香川久士の作品が含まれています。本展では、山川コレクションに含まれない愛媛県ゆかりの写真家の作品を合わせてご紹介し、本県における写真芸術の普及・発展の機会とします。

02
ウジェーヌ・アジェ《紳士服店》1925年


03
アンドレ・ケルテス《モンドリアンの家で》1926年


04
ロバート・キャパ
《共和国軍兵士の死、コルドバ前線、スペイン》1936年


06
アンセル・アダムス
《インスピレーション・ポイントからのヨセミテ渓谷、冬、ヨセミテ国立公園》1940年頃


05
ウィリアム・クライン
《銃2、ニューヨーク、1955年》1955年

全て 愛媛県美術館所蔵(山川コレクション)


作家紹介

新山清|NIIYAMA Kiyoshi (1911-1969)

風景を中心に、時には何度も同じ場所に足を運んでじっくり時間をかけて観察し、独自の感性で切り取る新山の作品は、岩や木などの単純な被写体でさえ個性ある表情を湛えています。アマチュア写真家として自由な姿勢を貫き、撮影したこれらの作品は、1950 年代ドイツを中心として興隆した「主観主義写真」の流れの中でも高く評価されました。

08
新山清
[ひび]1950 年頃 個人蔵


愛媛県生まれ。東京電気専門学校卒業。理科学研究所で働きながら、1936 年パーレット 6.3 付で写真を始める。1946-52 年は愛媛(八幡浜・松山)に拠点を置き、写真愛好家たちの指導など県内の写真振興に尽力する。1958 年以降は旭光学商事(旧・ペンタックス(株)、現・リコーイメージング(株))でサービスセンター所長等を務める傍ら撮影やカメラ雑誌等への寄稿に取り組んだ。撮影者の自由な感性を重んじた「主観主義写真」を提唱した、ドイツのオットー・シュタイナート企画の展覧会「subjektive fotografie 3」(1958 年)に出品。 1969 年、交流のあった鈴木八郎、清岡惣一、濱谷浩、植田正治、緑川洋一らが協力して「木石の詩 新山清遺作展」開催(ペンタックスギャラリー)、『木石の詩 新山清遺作集』発行(1970 年)。近年国内外で再評価され、作品集・展覧会、多数。新規作品収蔵 J.ポール・ゲッティ・ミュージアム(2024 年)ほか。


芥川善行|AKUTAGAWA Yoshiyuki (1939-2019)

芥川善行は航空写真家として、「1,000 フィート」(約 300m)という航空法で定められた市街地での最低高度にこだわり撮影してきました。飛行高度を限りなく地上に近づけることで、芥川が常に大切にしてきた、大自然の多彩な美しさと人々の生き生きとした営みとが同時に撮影できるのです。またその表現の追究はカメラ機器自体にも及び、自らカメラの制作に本格的に携わりました。本展では富士フイルムと富士フイルムイメージングシステムズの協力のもとリプリントし、芥川が開発・開発協力し、撮影したカメラとともに展示します。

09
芥川善行
《沖縄県クエフ》個人蔵


愛媛県生まれ。高校時代から写真雑誌の月例コンテストの常連となり、後にフリーのカメラマンとして、本格的に航空写真に取り組む。光と影を重んじ、大自然における四季の移り変わりを主なテーマとして発表を続けた。自ら空撮用大判カメラ「エアロアクタス」を開発・製品化し、国際見本市「フォトキナ」(ケルン(ドイツ))に長年出品。また「FUJI G617 プロフェッショナル」等富士フイルムのプロ用カメラの開発にも協力した。全日空のカレンダー(1980-2010 年)や機内誌(1998-2001 年)、政府の海外向けグラフ誌における撮影を担当。
『1000 feet Yoshiyuki Akutagawa』(セキ株式会社、1997 年)制作。個展:「空から見た日本パノラマ紀行〜航空写真家芥川善行がとらえた四季折々の風景〜」(2009 年フジフイルム スクエア、2013 年富士フイルムフォトサロン 大阪)ほか。


石川武志|ISHIKAWA Takeshi (1950−)

多種多様な民族が暮らし、それぞれの固有の文化が土地ごとに根付いている国―インド。石川武志は、1980 年以降この地を重点的に取材してきました。今回はそのライフワークである、“第3の性”「ヒジュラ」のシリーズからご紹介します。連綿と息づく独自の死生観や宗教観に組み込まれた、男性・女性とは異なるもうひとつの性。石川は、この「ヒジュラ」として生きる人々の生の姿をとらえています。国内でも性の多様性が謳われつつある現代。石川の作品は私たちに何を問いかけるのでしょうか。

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石川武志
「ヒジュラ」より 2019 年 作家蔵


愛媛県生まれ。1971 年東京写真専門学院(現・専門学校ビジュアルアーツ・アカデミー)卒業。1971-74 年、ユージン・スミスの水俣取材にアシスタントとして同行。1975 年に渡米し、独立して自らのテーマを模索する。 1978 年のシルクロードの取材を機にアジアに目を向け、1980 年にはインドのガンジス河巡礼の取材を開始。
1982 年から、ライフワークの一つとなるインドのトランスジェンダー社会「ヒジュラ」の取材に着手する。主な作品集:『ヒジュラーインド第 3 の性』(青弓社、1995 年)、『MINAMATA NOTE 1971〜2012』(千倉書房、2012 年)、『NAKED CITY VARANASI」(蒼穹社、2020 年)。個展:「MINAMATA ユージン・スミスへのオマージュ」(リコーイメージングスクエア東京 ギャラリーA、2021 年)など多数。


佐々木知子|SASAKI Tomoko (1980−)

原爆投下の痕跡が残る長崎市の街を撮り下ろしたシリーズ「Ground」。佐々木が現在社会学の領野で進める、現代日本社会における戦争体験の想起についての研究の足掛かりともなった重要な作品です。佐々木は写真のメディア性や撮影された作品が担う時間の観念について問い、考えを深めながら、写真という媒体に向き合ってきました。2025 年は戦後 80 年、佐々木がとらえた長崎の情景は、作品の 1 点 1点にまた新たに異なる時間が流れ、みる者の眼を通してそれぞれの様々な「戦争体験」のイメージへとつながります。

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佐々木知子
「Ground」より 2019 年 作家蔵


愛媛県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業。現在京都府在住。2019 年より京都精華大学デザイン学部非常勤講師。日本学術振興会特別研究員(DC1)。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程在学中。現代日本社会における戦争体験の想起に関する社会学的研究を行う。作品集:『通学路 愛媛県』(プランクトン、2010 年)、『Ground』(tento、2019 年)。個展:「Light and Ghost」(ユイット/東京、2007 年)、「ambrosia」(tray/東京、2008 年)ほか開催。「つながる/つなげる 愛媛ゆかりの作家たち」(愛媛県美術館、2010 年)出品。


村上亘|MURAKAMI Wataru (1983−)

絵画と写真、あるいは具象と抽象との境界を自由に行き来し表現を模索する村上亘。その背景には西洋美術史への関心があり、特に静物画において、事物がまとう歴史や宗教観など様々な文脈についても考えを巡らせています。今回は、分割したプリントを再構築する「パズルプリント」の手法で、風景を対象としながらも静物と同様に分析し、構成した作品を紹介予定です。国や文化の枠を超え、世界各地の一見異なる風景が村上の記憶や感性と交錯し、何らかの共通項を見出しつつ写し取られています。

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村上亘《Untitled (Cathedral Notre-Dame de Paris)》
2024 年作家蔵


愛媛県生まれ。カナダ、アメリカで育ち、上智大学比較文化学部で美術史を学ぶ。卒業後翌年 2007 年渡独し、国立カールスルーエ造形大学にてメディア・アート、写真を学ぶ(2016 年卒業)。2015 年、ポーラ美術振興財団在外研修員。2016 年、野村財団芸術文化奨学金。ドイツ国内でもドイツ在住外国人学生優秀賞
(DAAD Prize for outstanding achievements of international students studying at German universities)(2012年)を始め、奨学金や助成金を獲得。「ポーラ ミュージアム アネックス展 2018」(ポーラ美術館、2018 年)、「都美セレクション グループ展 2023 イメージの痕跡 ー記憶とリアリティのあわい」(東京都美術館、2023年)ほか出品。


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